会計基礎講座
「会計」とは、経営状況を「記録」し「報告」すること。


                                             
第71回 中小企業の会計(9) 貸倒引当金 2009.09.15
第70回 中小企業の会計(8) 貸倒損失 2009.08.15
第69回 中小企業の会計(7) 金銭債権 2009.07.15
第68回 中小企業の会計(6) 「個別注記表」って、何ですか? 2009.06.15
第67回 中小企業の会計(5) 「株主資本等変動計算書」って、何ですか? 2009.05.15
第66回 中小企業の会計(4) 「損益計算書」って、何ですか? 2009.04.15
第65回 中小企業の会計(3) 「貸借対照表」って、何ですか? 2009.03.15
第64回 中小企業の会計(2) 「決算書」って、何ですか? 2009.02.15
第63回 中小企業の会計(1) 「中小企業の会計」って、何ですか? 2009.01.15
第62回 中小企業の会計 2008.12.15
第61回 会社法 合同会社(日本版LLC)の新設 2008.11.15
第60回 会社法 現物出資・事後設立の簡素化 2008.10.15
第59回 会社法 払込金保管証明制度の一部廃止 2008.09.15
第58回 会社法 商業登記制度の柔軟化 2008.08.15
第57回 会社法 既存会社の資本金の減少 2008.07.15
第56回 会社法 既存の「確認会社」(1円会社)の扱い 2008.06.15
第55回 会社法 最低資本金制度の撤廃 2008.05.15
第54回 会社法 会社設立手続の簡素化 2008.04.15
第53回 会社法 一人合名会社、法人無限責任社員 2008.03.15
第52回 会社法 合名会社・合資会社から株式会社への組織変更 2008.02.15
第51回 会社法 通常の株式会社への移行 2008.01.15
第50回 会社法 特例有限会社 2007.12.15
第49回 会社法 有限会社制度の廃止 2007.11.15
第48回 会社法 略式組織再編の導入 2007.10.15
第47回 会社法 簡易組織再編の範囲拡大 2007.09.15
第46回 会社法 合併等の対価の柔軟化 2007.08.15
第45回 会社法 決算公告 2007.07.15
第44回 会社法 剰余金の分配 2007.06.15
第43回 会社法 会計参与制度 2007.05.15
第42回 会社法 社債の発行 2007.04.15
第41回 会社法 株券の廃止 2007.03.15
第40回 会社法 議決権や配当についての株主ごとの異なる取扱い 2007.02.15
第39回 会社法 議決権制限株式の活用 2007.01.15
第38回 会社法 相続人等に対する売渡請求 2006.12.15
第37回 会社法 自己株式の機動的な取得 2006.11.15
第36回 会社法 譲渡制限株式の発行 2006.10.15
第35回 会社法 取締役会の書面決議 2006.09.15
第34回 会社法 取締役等の責任 2006.08.15
第33回 会社法 取締役・監査役の任期 2006.07.15
第32回 会社法 取締役会を設置しない会社の株主総会 2006.06.15
第31回 会社法 中小企業にマッチした機関設計 2006.05.15
第30回 会社法 譲渡制限会社 2006.04.15
第29回 会社法 株式会社の機関 2006.03.15
第28回 決算公告 2006.02.15
第27回 外貨建取引等 2006.01.15
第26回 後発事象 2005.12.15
第25回 税金費用・税金債務 2005.11.15
第24回 中小企業会計に関する指針 2005.10.15
第23回 信用力のある決算書を作るために(16)・・・資本・剰余金 2005.09.15
第22回 信用力のある決算書を作るために(15)・・・計算書類の開示 2005.08.15
第21回 信用力のある決算書を作るために(14)・・・記帳 2005.07.15
第20回 信用力のある決算書を作るために(13)・・・注記事項 2005.06.15
第19回 信用力のある決算書を作るために(12)・・・キャッシュフロー計算書 2005.05.15
第18回 信用力のある決算書を作るために(11)・・・税効果会計 2005.04.15
第17回 信用力のある決算書を作るために(10)・・・経過勘定項目 2005.03.15
第16回 信用力のある決算書を作るために(9)・・・費用・収益 2005.02.15
第15回 信用力のある決算書を作るために(8)・・・リース取引 2005.01.15
第14回 信用力のある決算書を作るために(7)・・・退職給与引当金 2004.12.15
第13回 信用力のある決算書を作るために(6)・・・引当金 2004.11.15
第12回 信用力のある決算書を作るために(5)・・・繰延資産 2004.10.15
第11回 信用力のある決算書を作るために(4)・・・固定資産 2004.09.15
第10回 信用力のある決算書を作るために(3)・・・棚卸資産 2004.08.15
第9回 信用力のある決算書を作るために(2)・・・有価証券 2004.07.15
第8回 信用力のある決算書を作るために(1)・・・金銭債権、貸倒引当金 2004.06.15
第7回 信用力のある決算書? 2004.05.15
第6回 月次決算の重要性 2004.04.15
第5回 キャッシュフロー計算書(C/F) 2004.03.15
第4回 損益計算書(P/L) 2004.02.15
第3回 貸借対照表(B/S) 2004.01.15
第2回 決算書の種類 2003.12.15
第1回 決算書は経営者の成績表 2003.11.15




 第71回 このページのトップへ

中小企業の会計(9)

貸倒引当金

貸倒引当金とは、決算日における金銭債権の貸倒れの見積額を引当て計上したものです。
(1)金銭債権について、取立不能のおそれがある場合には、取立不能見込額を貸倒引当金として計上しなければならない。
(2)取立不能見込額については、債権の区分に応じて算定する。財政状態に重大な問題が生じている債務者に対する金銭債権については、個別の債権ごとに評価する。
(3)財政状態に重大な問題が生じていない債務者に対する金銭債権に対する取立不能見込額は、それらの債権を一括して又は債権の種類ごとに、過去の貸倒実績率等合理的な基準により算定する。
(4)法人税法における貸倒引当金の繰入限度額相当額が取立不能見込額を明らかに下回っている場合を除き、その繰入限度額相当額を貸倒引当金に計上することができる。

●債権は、債務者の状況に応じて次のように区分し、取立不能見積額を算定します。
一般債権……………経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権
貸倒懸念債権………経営破綻の状態には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権
破産更正債権等……経営破綻又は実質的に経営破たんに陥っている債務者に対する債権




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中小企業の会計(8)

貸倒損失

貸倒損失とは、金銭債権の回収不能による損失をいいます。
法的に再建が消滅した場合のほか、回収不能な債権がある場合は、その金額を貸倒損失として計上し、債権金額から控除しなければならない。

●表示方法のポイント
区   分 表示箇所
営業上の取引に基づいて発生した債権に対するもの 販売費及び一般管理費
1,3以外のもの 営業外費用
臨時かつ巨額のもの 特別損失

なお、税務上、次のような場合のみ、貸倒損失として損金の額に算入されます。
(1)金銭債権が切り捨てられた場合
※その事実が生じた事業年度の損金の額に算入される
(2)金銭債権の全額が回収不能となった場合
※全額が回収できないことが明らかになった場合は、その明らかになった事業年度において
 損金経理することが要件。
(3)一定期間取引停止後弁済がない場合等
※備忘価額を控除した残額を損金経理をすることが要件。




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中小企業の会計(7)

金銭債権

金銭債権とは、金銭の給付を目的とする債権をいい、預金、受取手形、売掛金、貸付金等を広く含む権利(債権)の総称で、会計処理及び表示は次のように取り扱います。

(1)一般的な金銭債権
 ・金銭債権の評価額は、その取得価額を付すのが原則です。
 ・金銭債権の取得価額が債権金額と異なる場合は、取得価額と債権金額との差額の性格が金利の調整と認められ
  るときは、償却原価法に基づいて算定された価額とします。
(2)市場価格のある金銭債権
 ・市場価格のある金銭債権については、時価又は適正な価格をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損
  益として処理することができます。
(3)デリバティブ取引による債権
 ・デリバティブ取引により生じる正味の債権及び債務は、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損益
  として処理します。ただし、ヘッジ目的でデリバティブ取引を行った場合、ヘッジ対象資産に譲渡等の事実がなく、
  かつ、そのデリバティブ取引がヘッジ対象資産に係る損失発生のヘッジに有効である限り、損益の繰り延べが認
  められています。

B/S上は、内容により「流動資産」「投資その他の資産」の欄に表示されます。




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中小企業の会計(6)

「個別注記表」って、何ですか?

個別注記表とは、重要な会計方針に関する注記、貸借対照表に関する注記、損益計算書に関する注記等を一覧にして表示する決算書です。

一般的な中小会社(会計監査人非設置・非公開会社)の個別注記表については、次の項目の記載が必要です。

1.重要な会計方針に係る事項に関する注記
  (1)資産の評価基準及び評価方法、(2)固定資産の減価償却方法、(3)引当金の計上基、
  (4)収益費用の計上基準、(5)その他
2.会計処理の原則又は手続の変更したときは、その旨、変更の理由及びその変更が計算書類に与えている影響
  の内容
3.表示方法の変更したときは、その内容
4.株主資本等変動計算書に関する注記
  (1)事業年度の末日における発行株式の数、(2)同日における自己株式の数
  (3)事業年度中の剰余金の配当 に関する事項、(4)事業年度の末日後の剰余金の配当に関する事項
  (5)新株予約券の目的となる株式数
5.その他の注記

※なお、個別注記表については、従来どおり貸借対照表などの注記事項として記載することも認められています。




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中小企業の会計(5)

「株主資本等変動計算書」って、何ですか?

株主資本等変動計算書とは、貸借対照表の純資産の部の一会計期間における変動額のうち、主として、株主に帰属する部分である株主資本の各項目の変動事由を報告するために作成される決算書です。

 
株主資本等変動計算書
項 目 株主資本 株主資本以外 合計
前期末残高 ※1
当期変動額             
        
   当期純利益※2
当期末残高 ※3


 
「純資産の部」の
変動に関する取引

株主総会
剰余金配当
自己株式取得
など

        ※1 前期B/Sの     ※2 当期P/Lの        ※3 当期B/Sの
         純資産総額と一致      当期純利益と一致        純資産総額と一致


株主資本変動計算書の前期末及び当期末残高は、それぞれ前期及び当期の貸借対照表の純資産の部における各項目の期末残高と一致します。株主資本の項目の当期変動額は変動事由ごとに表示し、株主資本以外の項目の当期変動額は純額で表示します(注記等が必要)。




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中小企業の会計(4)

「損益計算書」って、何ですか?

損益計算書は、会社の一会計期間における経営成績を示す決算書です。会社の経営成績を収益(かせぎ)と費用(コスト)とを対比して、その差額として利益(もうけ)を示すものです。別名「Profit&Loss Statement」(略してP/L)とも呼びます。

●損益計算書における基本算式   収益−費用=利益 

損益計算書では、収益と費用をその性質により区分し、利益を次のように5分類で求めます。
(1)売上高−売上原価=売上総利益
(2)売上総利益−販売費及び一般管理費=営業利益
(3)営業利益+営業外収益−営業外費用=経常利益
(4)経常利益+特別利益−特別損失=税引前当期純利益
(5)税引前当期純利益−法人税等=当期純利益

●貸借対照表と損益計算書の関係
貸借対照表では純資産(自己資本)の大きさが健全性の目安となり、損益計算書では利益の大きさが経営成績の良否の目安となります。両者は相互に関連しており、経営活動により獲得した利益が、内部留保として自己資本の充実につながり、それが資産に運用され経営活動に還元されるのです。




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中小企業の会計(3)

「貸借対照表」って、何ですか?

貸借対照表は、会社の期末における財政状態(資産・負債・純資産の状態)を示す決算書です。別名「Balance Sheet」(略してB/S)とも呼びます。貸借対照表における財政状態とは、会社の資金の調達状況及び運用状況のことです。貸借対照表は、資産・負債・純資産から構成され、次のような基本構造をもっています。

【資産】(資金の運用状況)=【負債+純資産】(資金の調達状況)



会社が集めた資金をどのように運用しているかを示すものです。
(資金の運用) (資金の調達)
資産
T流動資産
U固定資産
(1)有形固定資産
(2)無形固定資産
(3)投資その他の資産
V繰延資産
負債
T流動負債
U固定負債
純資産
T株主資本
U評価・換算差額等
V新株予約権


会社の資金調達の源泉が、主として債権者によるもので、他人資本ともいいます。

会社の資金調達の源泉が、株主の払込資本とその資本を使って稼いだ利益(内部留保)からなるもので、自己資本ともいいます。

※左側の資産の数値と右側の負債・純資産の合計の数値とは、必ず一致します。




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中小企業の会計(2)

「決算書」って、何ですか?

「決算」とは、一会計期間における会社の経営成績及び期末における財政状態を確認する作業をいい、そのために作成される書類を「決算書」といいます。会社法では決算書に関連するものとして「計算書類」に関する規定が置かれています。株式会社の計算書類は「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」「個別注記表」の4つであり、これに加えて、「事業報告」や「附属明細書」の作成が義務付けられています。

決算書の種類については、次のようになっています。
●会社法上の計算書類
(1)貸借対照表・・・会社の期末における財政状態を示す
(2)損益計算書・・・会社の一会計期間における経営成績を示す
(3)株主資本等変動計算書・・・株主資本等の各項目について、期首と期末の間の増減を表示する
(4)個別注記表・・・重要な会計方針、貸借対照表、損益計算書に関する注記等を一覧にして表示する
●事業報告書・・・会社の状況に関する重要な事項等の内容を記載する説明報告用の書類
●附属明細書・・・計算書類や事業報告をより詳細に明らかにするもとして、会社法に基づいて作成される書類




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中小企業の会計(1)

「中小企業の会計」って、何ですか?

「中小企業の会計」は、中小企業自らのためにあるものです。この「中小企業の会計」に関して「中小企業の会計に関する指針」(以下「本指針」といいます)では、次のように記載されています。
●株式会社は、会社法により、計算書類の作成が義務付けられている。
●「本指針」は、中小企業が、計算書類の作成にあたり、拠ることが望ましい会計処理や注記等を示すものである。
●このため、中小企業は、本指針に拠り計算書類を作成することが推奨される。とりわけ、会計参与設置会社が計算書類を作成する際には、本指針に拠ることが適当である。

中小企業の願い……自社の経営を見極めたい!金融機関の信用を勝ち取りたい!取引先の信用を勝ち取りたい!
中小企業の不安……大会社を念頭に置いた会計基準はどんどん複雑化しているけど、中小企業はどうすればいいの?

中小企業が、会社法上の計算書類(決算書)を作成するに際し、中小企業にふさわしく、また、過重な負担とならないものとして、拠ることが望ましい「中小企業の会計のあり方」が明らかになっています。




 第62回 このページのトップへ

中小企業の会計

中小企業庁は、平成14年に「中小企業の会計に関する研究会」を主催し、中小企業にふさわしく、また、過重な負担とならない「中小企業の会計」を作成、公表しました。
これを引き継ぐものとして、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所、企業会計基準委員会の民間4団体が、「中小企業の会計に関する指針」を作成して平成17年8月に公表しました。また、平成18年4月には会社法施行等に対応した改正を行い、以降も企業会計基準の見直しをふまえた改正を実施しています。
平成20年5月の上記指針の改正を踏まえて、「中小企業の会計31問31答 平成20年指針改正対応版」が中小企業庁より発表されましたので、次回より中身を見て行きたいと思います。

企業経営は決して数字がすべてではありませんが、現実問題として、経営分析、資金調達、受注拡大するには、企業の状態を数字で表すことを避けることはできません。信用力のある決算書を作成のために、当コラムをご活用ください。




 第61回 このページのトップへ

会社法

合同会社(日本版LLC)の新設

合同会社は、有限責任社員のみで構成され、かつ組織の内部自治を認める新たな会社類型で、LLPとともに、創業やジョイントベンチャーなどでの活用が期待されています。
これまでの会社類型は、大きく分けると次の2タイプしかなく、選択が硬直化していました。
*「有限責任社員」のみで構成され、「組織の規律が厳格」な株式会社・有限会社
*「無限責任社員」が存在し、「組織の内部自治」が認められる合名会社・合資会社
新会社法では、「有限責任社員」のみで構成され、「組織の内部自治」が認められる新たな会社類型として、合同会社(アメリカのLLC(Limited Liability Company)を参考にしているため、「日本版LLC」とも呼ばれる)が新設され、創業やジョイントベンチャーなどでの活用が期待されています。

合同会社は、次のような特徴を持っています。
(1)有限責任制……合名会社や合資会社と違い、社員(出資者)は出資額の範囲までしか責任を負いません。
(2)内部自治原則…株式会社と違い、利益や権限の配分が出資金額の比率に拘束されません。また、取締役会や監査役のような機関を設置する必要がありません。
(3)社員数…………社員1名のみの合同会社の設立・存続が認められます。
(4)意思決定………社員の入社、持分の譲渡、会社成立後の定款変更は、原則として社員全員の同意によります。
(5)業務執行………各社員が原則として業務執行権限を有しますが、定款で一部の社員のみを業務執行社員と定めることも可能です。
(6)決算書の作成…貸借対照表、損益計算書、社員資本等変動計算書の作成が必要です。




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会社法

現物出資・事後設立の簡素化

これまで、会社設立時に現物出資・財産引受けを行う場合や、事後設立を行う場合には、資産額の評価について客観性を保つため、原則として検査役の調査が必要とされていました。しかし、検査役の調査には費用と手間がかかるため、中小企業には負担であるとの指摘がなされていました。
新会社法では、現物出資・財産引受けを行う際に検査役の調査が不要とされる範囲が拡大され、また事後設立における検査役の調査も不要となるため、これらの制度がスムーズに利用できるようになりました。

検査役の調査がいらない現物出資・財産引受け
会社を設立する際には、原則として金銭による出資が行われますが、その例外として現物出資と財産引受けがあります。「現物出資」とは、動産、不動産、有価証券など、金銭以外の財産をもって行う出資のことです。「財産引受け」とは、会社の設立を条件として、特定の財産を会社が譲り受ける旨をあらかじめ約しておく契約のことです。
現物出資や財産引受けの制度を利用することにより、会社に必要とされる財産を充実させることができますが、出資した財産を適正に評価するため、一定の場合を除き検査役の調査が必要とされます。
新会社法では、検査役の調査が不要な現物出資・財産引受けの範囲が次のとおり拡大されます。
(1)財産の総額が500万円以下(資本金の1/5を超えてもよい)、(2)市場価格のある有価証券(「店頭登録有価証券」などが追加)、(3)財産の価額が相当である旨の、弁護士等専門家の証明(変更なし)

なお、募集設立の場合は、株式申込人の保護のため、これまでどおり「払込金保管証明」が必要とされます。




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会社法

払込金保管証明制度の一部廃止

以前は、会社設立の際には、銀行または信託会社が務める払込取扱金融機関が、設立登記前に、発起人または株式申込人から金銭出資の払込みがなされたことを証明する「払込金保管証明」が必要でしたが、(1)金融機関が払込取扱機関となることを引き受けてくれない、(2)手続に時間がかかる(一般的に数週間程度)、(3)費用がかかる(一般的に2万5千円程度)、(4)設立登記が完了するまで払込金を引き出せない、などの問題がありました。会社法では、発起設立の場合には「払込金保管証明」が不要となりました。

株式会社の設立には、次の2通りの方法があります(実務上は発起設立の方法が多い)。
発起設立:設立に際して発行する株式の全部を発起人が引き受ける方法。
募集設立:発起人は設立に際して発行する株式の一部だけを引き受け、残りは他の株主を募集する方法。
新会社法では、発起設立については「払込金保管証明」が不要となり、代表者が作成した払込みの事実を証明する書面に、払込みがされている預金通帳の写し等を合わせてとじたものを利用することが出来るようになりました。また、一度払込みがなされれば、設立登記前でも払込金の引出しができるようになりました。




 第58回 このページのトップへ

会社法

商業登記制度の柔軟化

これまで、商業登記制度については、紛らわしい商号(会社の名称)を排斥するため、同一市町村において他人が登記した商号について、同種の営業について登記することが禁止されていました(類似商号規制)。しかし、この規制は、企業活動の広域化につれ、その合理性が低下していると指摘されていました。また、「同種の営業」を登記事項である「会社の目的」で判断していたため、登記実務において語句の使用が厳格で審査に時間と手間がかかると指摘されていました。新会社法では、類似商号規制を廃止するとともに、「会社の目的」の柔軟な記載が認められました。

不正目的の商号使用の防止
新会社法の施行によって、次のような方法により不正目的の商号使用の防止を図ることとなります。
*同一住所、同一商号の登記の禁止(目的の如何を問わない)。
*新会社法・不正競争防止法の規定により、不正目的の商号使用の差止め、損害賠償請求が可能。




 第57回 このページのトップへ

会社法

既存会社の資本金の減少

最低資本金制度が撤廃されたので、既存の株式会社・有限会社も資本金を減少させることが可能となりました。
これまで、株式会社1,000万円、有限会社300万円の最低資本金制度がありました。新会社法では、最低資本金制度が撤廃されましたので、既存の会社も設立時の資本金にとらわれずに無制限に資本金を減少させることが可能となりました。

減資の手続
資本金の額の減少は、原則として株主総会の特別決議(総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、かつその議決権の2/3以上の賛成)を必要としますが、次の要件に該当する場合には、普通決議によることができます。
*定時株主総会の決議であること
*減資額がすべて欠損てん補にあてられること(注)

(注)欠損てん補とは、資本金や準備金の減少により、欠損金(税法上の所得金額の計算上、損金が益金を超える部分の金額)を充当することです。資本金の減少により、剰余金がプラスになり、分配可能額が生じるような場合は、原則どおり特別決議が必要となります。




 第56回 このページのトップへ

会社法

既存の「確認会社」(1円会社)の扱い

これまで、最低資本金規制特例制度によって経済産業大臣の確認を受け、最低資本金規制を免除された「確認会社」は、5年以内に最低資本金(株式会社1,000万円、有限会社300万円)以上の増資を行うことや、毎年経済産業大臣に計算書類を提出することなどが必要でした。
新会社法では、最低資本金制度の撤廃(第55回参照)に伴い本特例制度も廃止され、「確認会社」に課されていた義務もなくなりました。

「確認会社」は定款変更が必要
最低資本金規制特例制度によって設立された「確認会社」は、新会社法の施行により、
(1)5年以内に最低資本金以上の増資を行わなくても解散不要、(2)毎年経済産業大臣に行っていた計算書類提出不要、となるなど、これまでの義務がなくなりました。

注意 「確認会社」の定款には、「設立から5年以内に資本金を1,000万円(有限会社は300万円)に増資できなかった場合は解散する」旨の定めが置かれているので、新会社法施行後にこの定めを削除する定款変更を行い、登記することが必要です。




 第55回 このページのトップへ

会社法

最低資本金制度の撤廃

最低資本金制度が撤廃され、資本金が1円でも会社を設立することができます。
これまで、債権者保護等の観点から、最低資本金制度(株式会社1,000万円、有限会社300万円)が設けられていましたが、同制度が円滑な創業の障害となっているとの指摘がなされていました。新会社法では、最低資本金制度が撤廃されたため、資本金1円でも会社を設立することができます。

最低資本金制度の撤廃には、次のような背景があります。
(1)開廃業率の逆転による創業円滑化の必要性。
(2)ネットビジネス等、少額資産で営業可能な業種の拡大。
(3)債権者保護のためには、設立時の出資金である資本金の額よりも、会社の財産状況の適切な開示、会社財産の適切な留保等の方が重要であること。
(4)取引先の信用判断においても、「過去の実績」や「業界の評判」が重視される一方で、「資本金の大小」を重視する意見は少ないこと。
(5)「最低資本金規制特例制度」(いわゆる「確認会社制度」)が、新事業創出に一定の効果があったこと。
新会社法の最低資本金制度の撤廃に伴い、「確認会社制度」は廃止されております(既に設立された「確認会社」の扱いは次回参照)。




 第54回 このページのトップへ

会社法

会社設立手続の簡素化

近年の日本では、廃業率が開業率を上回る状態が続いており、新たな事業の創出・雇用の受け皿の確保によって経済活動の活性化を図るため、創業の支援が必要とされていました。新会社法では、このような観点から、会社の設立手続が大幅に見直し・簡素化されました。

新会社法で簡素化された主な手続には、次のようなものがあります。
◎最低資本金制度の撤廃
株式会社1,000万円、有限会社300万円の最低資本金制度は、創業促進の観点から撤廃されました。
◎類似商号規制の廃止
商業登記手続のうち、企業活動の広範化や登記手続の簡素化の要請により類似商号規制が廃止され、同時に類似の判断基準になっていた「会社の目的」についても記載基準が緩和されました。
◎払込金保管証明制度の一部廃止
発起設立により会社を設立する場合、資本金の払込みについては、銀行等による保管証明書を不要とし、代わりに残高証明で足りることになりました。




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会社法

一人合名会社、法人無限責任社員

合名会社は無限責任社員のみからなる会社であり、合資会社は無限責任社員と有限責任社員からなる会社です。これまで、合名会社の社員は2名以上必要とされており、また、法人が他の法人の無限責任社員となることが禁じられていました。
新会社法では、社員1名のみの合名会社の設立・存続が認められ、法人が合名・合資会社の無限責任社員となることも認められ、合名・合資会社の設立・存続が容易になりました。

一人合名会社……これまで、合名会社の社員は2名以上必要とされており、社員が1名になることは解散事由とされていました。このため、社員2名の合名会社において、そのうちの1名が退社・死亡等した場合、代わりの無限責任社員をすぐに補充できなければ会社を解散しなければならないという問題点がありました。新会社法における改正は、このような問題点に対応するものです。

法人無限責任社員……法人が合資会社の無限責任社員である場合、当該法人は自然人を職務執行者として選任することになります。また、合資会社では有限責任社員も業務執行権限や代表権限を有することが可能になるなど、社員の責任・権限の構成が柔軟に行えるようになりました。




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会社法

合名会社・合資会社から株式会社への組織変更

会社類型を変更することを「組織変更」といいます。これまでは、株式会社・有限会社間の組織変更、合名会社・合資会社間の組織変更のみが認められ、合名会社・合資会社と株式会社間の組織変更は認められていませんでした。
新会社法では、合名会社、合資会社および合同会社と株式会社間の組織変更が認められ、必要に応じて簡単に株式会社へ移行することができるようになりました。

合名会社・合資会社から株式会社への組織変更が認められることで、次のようなメリットが考えられます。
*別途株式会社を設立して合併や営業譲渡を行う必要がない。
*業の許認可の再取得などの手間とコストが不要な場合がある。

組織変更の具体的な手続は次のとおりです。
(1)組織変更計画の作成(定款で定める事項の決定、効力発生日の決定等)。
(2)組織変更計画についての総社員の同意。
(3)官報公告・債権者への催告を行い、異議を申し立てた債権者への弁済措置。




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会社法

通常の株式会社への移行

特例有限会社から通常の株式会社に移行するには、定款における株式会社への商号変更、特例有限会社の解散登記および株式会社の設立登記を行う必要があります。

特例有限会社から通常の株式会社への移行手続
特例有限会社から通常の株式会社へ移行するには、次の手続が必要になります。(1)商号を「株式会社」の文字を用いたものに変更する旨の定款変更の株主総会決議、(2)特例有限会社についての解散の登記および商号変更後の株式会社についての設立の登記

(注)特例有限会社は、会社法上は株式会社の一種となるので、ここでは特例有限会社以外の株式会社を「通常の株式会社」と呼んでいます。上記の手続は組織変更(会社類型の変更)ではなく、商号変更となります。

通常の株式会社への移行コスト
上記手続を行うに当たって必要となる登録免許税は次のとおりです。
解散の登記:3万円、設立の登記:資本金額の1,000分の1.5(税額が3万円未満のときは3万円)




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会社法

特例有限会社

新会社法施行後も有限会社の名称と実態を変えないで会社を存続させたいというニーズに配慮して、新会社法では特例有限会社制度が設けられました。

既存の有限会社は、新会社法の施行により自動的に特例有限会社に移行することとなり、そのための定款変更や登記申請等は原則として不要です。また、特例有限会社としての存続期間について、特に制限は定められていません。

特例有限会社の規制
特例有限会社には、基本的にこれまでの有限会社と同じ規制が適用されますが、一部次のような相違点があります。
(1)これまで50名とされてきた社員の員数制限が廃止。最低資本金制度も撤廃
(2)新株予約権や社債の発行が可能に

特例有限会社は、会社法上は株式会社となり、経過措置で「有限会社」の商号の継続使用や従前の規律の維持が認められるという位置付けになります。新会社法施行後は、「有限会社の定款」は「株式会社の定款」に、「社員」は「株主」に、「持分や出資口数」は「株式や株式数」と読み替えられることになります。




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会社法

有限会社制度の廃止

特例有限会社制度により、新会社法施行後も有限会社の商号をそのまま使用することが認められます。株式会社の商号を使用する通常の株式会社に移行することももちろん可能です。

新会社法では、会社類型の選択の硬直化・規制の形骸化を踏まえて、有限会社制度が廃止され株式会社制度に一本化されました。

ただし、既存の有限会社については「特例有限会社制度」が適用され、引き続き「有限会社」の商号使用が認められるなど、これまでの規律を維持するための必要な経過措置が設けられています。

また、株式譲渡制限会社へ移行することで、株式会社の商号を使用しながら、これまでの有限会社制度に準じた簡易な規制を選択することも許容されます。

有限会社の新設はできません!
現在の会社法では会社を設立する場合は、特例有限会社制度は適用されないため、有限会社を新設することはできません。




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会社法

略式組織再編の導入

これまで、組織再編行為については原則として双方の会社の株主総会決議が必要でした。しかし、一方の会社が他方の会社をほぼ完全に支配しているような場合、被支配会社で株主総会を開催しても、支配株主の意向に沿わない決定がなされることはありません。
新会社法では、上記の理由に鑑み、一定の条件の下に被支配会社の株主総会決議を不要とする略式組織再編制度が新設されました。

略式組織再編を行うに当たって
(1)議決権の要件
親会社(支配会社)が議決権の90%以上を保有している子会社(被支配会社)の組織再編を行う際に、被支配会社での株主総会が不要となる略式組織再編制度を利用することができます。
(2)株式譲渡制限会社における注意点
株式譲渡制限会社がその株式の発行・移転を伴う組織再編を行う場合は、略式組織再編を利用できません。
(3)少数株主の保護規定
被支配会社の株主は、略式組織再編行為が法令・定款違反、または不当な条件で行われることにより、不利益を受けるおそれがある場合には、その略式組織再編行為の差止め請求を行うことができます。




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会社法

簡易組織再編の範囲拡大

会社が合併等の組織再編を行う場合には、原則として双方の会社の株主総会決議が必要ですが、一定の要件を満たす場合には、存続会社等の株主総会を不要とし、取締役会決議で足りるとする簡易組織再編制度が設けられています。
これまで、簡易組織再編制度を行うためには、合併に際して交付する株式が存続会社等の発行済株式総数の5%以下であることが必要でした。

新会社法では、この比率が20%まで拡大されるなど適用要件が緩和され、より機動的な簡易組織再編が可能となります。

簡易組織再編を行うに当たって
(1)適用要件の緩和
合併等の際には、存続会社等が消滅会社等の株主に対価として交付する株式その他の財産額が存続会社等の純資産額の20%以下である場合に、簡易組織再編制度を利用することができるようになります(改正前は5%以下)。
(2)株式譲渡制限会社における注意点
株式譲渡制限会社がその株式の発行・移転を伴う組織再編を行う場合は、簡易組織再編制度は利用できません。




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会社法

合併等の対価の柔軟化

会社が合併等を行う場合に、相手会社の株主に対して交付する財産(対価)の種類が柔軟に認められるようになりました。

これまで、会社が吸収合併等を行う場合に、消滅会社(合併によって消滅する会社)等の株主に対して交付される財産(対価)は、原則として存続会社(合併後にも存続する会社)等の株式に限定されていたため、対価を柔軟化すべきとの実務上の要請がありました。
新会社法では、合併等の対価が柔軟化され、存続会社等の株式の他に、現金や親会社の株式等を交付することも認められました。

現金合併や三角合併も可能に
合併等の対価の柔軟化により、消滅会社の株主に金銭のみを交付する合併(現金合併)や、消滅会社の株主に親会社の株式を交付する合併(三角合併)などが可能になります。
現金合併では、組織再編の前後で株主の構成が変化しないため、会社の経営状況を維持したまま組織再編を行うことができます。また、いったん消滅会社の株式を買い取って完全子会社化した後に吸収合併の手続を進めるといった手間・コストをかける必要もありません。




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会社法

決算公告

すべての機関設計の株式会社で、決算公告が義務付けられます。
これまで、決算公告が義務付けられていたのは株式会社のみであり、有限会社には義務がありませんでした。
新会社法では、有限会社と株式会社が一本化されることに伴い、特例有限会社を除くすべての機関設計の株式会社で決算公告が義務付けられます。株式譲渡制限会社であっても決算公告が義務付けられますので、注意が必要です。
決算公告の主な方法とその内容は次のとおりです。

公告の方法 公告する決算書
官報または日刊新聞紙 貸借対照表の要旨
インターネットによる公開 貸借対照表そのもの(5年間公開)

インターネットによる公開の具体的な手続は、(1)アドレスの登記、(2)定時株主総会における計算書類の承認、(3)貸借対照表をホームページに掲載、です。
なお、一度掲載した貸借対照表は5年間継続して掲載します。

※特例有限会社から株式譲渡制限会社に移行する場合、新たに決算公告義務が生じるので注意が必要!




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会社法

剰余金の分配

これまで、利益の配当の回数は、通常の配当と中間配当の年2回に限られていましたが、分配可能額の範囲内で配当を行う限り、その回数に制限を設ける合理的理由がないと指摘されていました。

新会社法では、利益の配当について、株主総会の決議によりいつでも行えることになります。また、配当や自己株式の有償取得等、会社財産が株主に払い戻される行為が「剰余金の分配」として整理され、統一の財源規制の下に置かれます。

決算書の種類
「決算」とは、一会計期間における会社の経営成績および期末における財政状態を確認する作業をいい、そのために作成される書類を「決算書」といいます。
新会社法では、株主への配当が株主総会決議でいつでも可能となるため、決算後の利益処分方法を示す「利益処分案(損失処理案)」の作成は求められなくなりましたが、代わりに配当の原資となる剰余金の変動等を示すものとして「株主資本等変動計算書」の作成が必要となりました。また、従来の「営業報告書」は、「事業報告」に名称が変更になりました。




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会社法

会計参与制度

会計参与は、取締役と共同して計算書類の作成・説明・開示等を行う会社内部の機関で、税理士・公認会計士等の会計専門家からなります。設置は完全に会社の任意であり、強制はありません。
これまで、中小企業における会計監査は主に監査役が担当していましたが、監査役には資格要件がないこともあり、名目的な監査役が設置されているのみの会社が多数存在していました。また、公認会計士・監査法人からなる会計監査人監査は、信頼性は高いもののコストも高いといわれています。このため、中小企業にとって決算書(計算書類)の信頼性の確保が課題とされてきました。
新会社法では、新たに会計参与制度が導入され、主に会計監査人が設置されない中小企業において決算書の信頼性の向上を図ることが期待されています。

中小企業が決算書の信頼性を向上させることで、次のようなメリットがあります。
自社の経営状態が見極められるので、適切な経営判断を行うことが可能となる。金融機関の信頼を得ることができるので、円滑な資金調達が可能となる。取引先の信頼を得ることができるので、新たな取引先の開拓が可能となる。新会社法で導入される会計参与は、このような中小企業のニーズに応え、決算書の信頼性を向上させる役割が期待されています。




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会社法

社債の発行

株式会社のみならず、特例有限会社、合名会社、合資会社、合同会社も社債を発行することができるようになりました。
これまで有限会社などでは社債の発行ができないとされており、資金調達の手段が限られていました。新会社法では、広く資金調達の円滑化を図るべく、すべての会社類型で社債を発行できるようになりました。
このため、株式会社以外の会社でも少人数私募債の活用が可能になるなどのメリットがあります。

※株式会社以外の会社でも少人数私募債の活用が可能!
少人数私募債とは、少人数の縁故者や取引先を対象として発行する社債のことで、通常の社債に比べて(1)手続の簡素化、(2)無担保で発行可能などのメリットがあります。これまで、有限会社などでは少人数私募債を利用できませんでしたが、新会社法ですべての会社に活用の道が開かれました。これにより、少人数私募債は、中小企業の直接金融の手段として、より一層活用の幅が広がります。
なお、少人数私募債を発行するためには、(1)社債権者が50名未満、(2)社債権者に適格機関投資家(プロの投資家)がいない、(3)社債総額を最低券面額で除した数が50未満(例えば、最低券面額が100万円の場合には社債総額が5,000万円未満)、などの発行条件を満たすことが必要です。




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会社法

株券の廃止

これまで、公開会社などを除くと、多くの株式会社で株券は発行されていませんでした。これらの実態を加味した平成16年商法改正で「株券不発行制度」が導入され、会社は定款で定めれば株券を発行しないことができることとされました。
新会社法では、その趣旨をさらにすすめ、定款に株券発行の定めがない場合には、株券は発行されないことになりました。

株券を発行する会社
新会社法施行後に設立される株式会社においては、定款に株券を発行する旨の定めを置かない限り、株券を発行する必要はありません。また、定款に株券を発行する旨の定めがある場合でも、株式譲渡制限会社は、株主から請求があるまでは株券を発行しないことができます。

注意
既存の株券発行会社が株券不発行会社に移行するためには、定款に株券不発行の定めを置くことが必要です。新会社法の施行により、当然に株券不発行会社に移行するわけではありません。




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会社法

議決権や配当についての株主ごとの異なる取扱い

これまで、株式会社では原則として出資額に応じた議決権・配当の配分を行うことになっていました。一方、有限会社では、定款に定めを置けば議決権の行使や配当などについて社員ごとに異なる取扱いができることとなっていました。
新会社法では、株式譲渡制限会社においては、株主総会の特殊決議により、議決権や配当について株主ごとに異なる取扱いを定款に定めることができるようになりました。

株主ごとの異なる取扱いには、例えば次のようなものがあります。
(1)議決権の行使について、株式の数によるのでなく1人1議決権とする。
(2)一定数以上の株式を有する株主については、議決権を制限する。
(3)配当や残余財産の分配について、株式の数によらず株主の頭割りで分配する。

ただし、定款でこのような「異なる取扱い」を新設したり変更したりすることは、株主の権利に大きな影響を及ぼすことから、株主総会の特殊決議(総株主の半数以上であって、総株主の議決権の3/4以上の賛成)が必要となります。




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会社法

議決権制限株式の活用

これまで、株式会社は議決権制限株式を発行済株式総数の1/2までしか発行できないとされていました。新会社法では、株式譲渡制限会社においては上記の発行限度が撤廃されるため、議決権制限株式の活用の幅がより一層広がります。
株式会社は、剰余金の配当や残余財産の分配、株主総会で議決権を行使できる事項などについて、内容の異なる2種類以上の株式を「種類株式」として発行できることになっています。議決権制限株式もこうした種類株式の一形態です。

種類株式を発行している会社では、(1)〜(4)のような行為を行った結果、ある種類株式の株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、全体の株主総会の特別決議(総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、かつその議決権の2/3以上の賛成)の他に、その種類株式の株主で構成される「種類株主総会」の特別決議が必要とされます。
(1)株式の種類追加など一定の事項に関する定款変更、(2)株主割当による新株発行等、(3)合併等の組織再編、(4)その他(会社法第322条参照)。但し、あらかじめ定款で種類株主総会の決議を必要としない旨を定めることも可能。




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会社法

相続人等に対する売渡請求

これまで、株式を譲渡制限株式とした場合でも、相続や合併等の事由による株式の移転は制限できなかったため、会社にとって好ましくない者に株式が分散することを阻止できませんでした。

新会社法では、定款で定めることにより、会社が相続等で移転した譲渡制限株式について売渡請求を行うことが可能になったため、会社の経営を安定させることができるようになります。

会社が売渡請求を行う際の注意点
この制度を活用するには、次のような注意点があります。
請求期限:相続等があったことを知った日から1年以内に、株主総会の特別決議(総株主の議決権の過半数を有する
       株主が出席し、かつその議決権の2/3以上の賛成)を経て請求する必要があります。
売買価格:株式の売買価格は当事者間の協議によりますが、協議が整わない場合、裁判所に売買価格決定の申立
       てができます。ただし、申立ては売渡請求の日から20日以内に行う必要があります。
財源規制:剰余金分配可能額を超える買取りはできません。




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会社法

自己株式の機動的な取得

あらかじめ指定した譲渡人からの自己株式の取得(相対取引)
これまで、株式が市場取引されていない会社の自己株式取得の手段は、あらかじめ会社に株式を売却する「譲渡人」を指定し、その譲渡人から直接株式を取得する「相対取引」という方法に限られていました。

相対取引で自己株式を取得する場合は、株主総会の特別決議(総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、かつその議決権の2/3以上の賛成)において、次の(1)〜(4)の事項を定めて取締役(取締役会設置会社においては取締役会)に授権することが必要となります。
(1)取得する株式の数(種類株式発行会社では、株式の種類および種類ごとの数)、(2)株式と引き替えに交付する金銭等の内容と総額、(3)株式を取得することができる期間、(4)譲渡人となる株主(譲渡人以外の株主は、自己を譲渡人に加えることを請求できる)

取締役(取締役会)への授権決議は、これまでは年1度の定時株主総会で行う必要がありましたが、新会社法では、いつでも開催できる臨時株主総会でも授権決議が可能となるため、自己株式の機動的な取得が可能となります。




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会社法

譲渡制限株式の発行

これまで、会社が複数の種類の株式を発行している場合に、一部の種類の株式にのみ譲渡制限を付けることはできませんでした。
新会社法では、一部の種類の株式についても譲渡を制限できるようになるなど、譲渡制限株式制度がより柔軟に使いやすくなります。

●譲渡制限の定め方
譲渡制限株式とは、その株式を譲渡しようとする場合には会社の承認を必要とすることを定款で定めた株式のことです。譲渡を承認する機関は、原則として、取締役会を設置しない株式会社では株主総会が、取締役会を設置する株式会社では取締役会が務めることになります。
株式の譲渡制限については、定款で次の事項を定めることが認められます。
(1)すべての株式でなく、一部の種類株式について譲渡を制限すること。
(2)株主間の譲渡は、承認を要しないこと。
(3)特定の属性を有する者(従業員等)に対する譲渡は、承認を要しないこと。
(4)譲渡を承認しない場合において先買権者をあらかじめ指定しておくこと。
(5)取締役会を設置する会社において、承認機関を株主総会とすること。

※株式譲渡制限会社とは、すべての株式が譲渡制限されている場合をいいます。




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会社法

取締役会の書面決議

これまで、取締役会は直接意見交換して意思決定する必要があるとの考えから、会議を省略することはできませんでした。
新会社法では、機動的な会社経営の実現を図るニーズの高まりを受け、書面上で決議すること(いわゆる「書面決議」)が認められるようになりました。
定款に定めれば、実際に会議を開かずに、書面決議が可能となります。

決議の条件
取締役会の決議の目的である事項について、取締役の全員が持ち回りの文書または電子メールなどによってその内容に同意をし、かつ、監査役(業務監査権限を有する監査役がいる場合)が異議を述べない場合には、決議が成立します。

注意
すべての取締役会をいわゆる書面決議でできるわけではなく、代表取締役等が3か月に1回以上行わなければならない取締役会への業務執行状況の報告については、実際に取締役会を開催する必要があります。




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会社法

取締役等の責任

取締役等の会社役員が会社や第三者に損害を与えた場合、損害賠償等の責任を負うことになります。新会社法では、取締役の会社に対する責任が原則「過失(不注意ミス)」があった場合の責任となります。また、一定の条件を満たす場合には、株主総会の決議により役員の損害賠償額を制限することもできます。
役員が責任を負うかどうかは「知っていた・知らなかった」「不注意ミスが有った・無かった」という2つの条件によって決まります。

取締役は、次のような行為により会社に損害を与えた場合、他の役員等と連帯して損害賠償等の責任を負うこととされています。
(1)違法配当:分配可能額を超えて剰余金の配当を行うような場合。
(2)利益供与:株主の権利行使に関して、株主に対し金銭その他の財産を供与するような場合。
(3)利益相反取引:取締役と会社の利益が相反する取引を行うような場合(原則取締役会決議必要)。
(4)法令・定款違反:法令や定款に違反するような行為を行うような場合。

(1)〜(3)の行為は、これまで無過失責任とされていましたが、新会社法で原則過失責任となり、不注意ミスがない(無過失)場合は責任を負わなくなります。




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会社法

取締役・監査役の任期

株式会社の取締役の任期は原則として2年、監査役は原則として4年となりますが、株式譲渡制限会社では、定款でそれぞれ10年まで伸ばすことができます。

これまで株式会社の取締役の任期は2年、監査役の任期は4年とされていましたが、役員の改選を定期的に行う必要性が低い株式会社においては、役員の再任に伴う登記に関するコストが負担になっていると指摘されていました。

新会社法では、株式譲渡制限会社において、取締役・監査役の任期を定款の定めにより最大10年まで延長することができるようになったのです。

●有限会社が株式譲渡制限会社に移行する際の注意点
有限会社は、これまで取締役・監査役の任期の定めがありませんでした。既存の有限会社が新会社法の施行後に株式譲渡制限会社に移行する場合、原則として従来どおりの運営が可能ですが、取締役・監査役の任期については通常の株式会社と同様の制限が発生するため、注意が必要です。




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会社法

取締役会を設置しない会社の株主総会

これまで株式会社には取締役会を必ず設置することとなっていたため、株主総会の権限は一定に制限され、招集手続も厳格なものとなっていました。

会社法の施行により株式譲渡制限会社で取締役会を設置しない会社については、株主総会の決議事項が拡大され、運営方法についても簡素化されました。
これまで取締役会で決定していた事項について、株主総会で決議することが可能になり、次のように株主総会の決議事項が拡大されるとともに、招集手続も簡素化することが可能となりました。

取締役会なし 取締役会あり
株主総会の
決議事項
株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項 法律に規定する事項および定款で定めた事項に限る
招集通知 1週間前(定款でさらに短縮可)までに発出 2週間前までに発出(株式譲渡制限会社においては1週間前まで)
口頭でも可能 書面または電磁的方法による通知
会議の目的事項の記載が不要 会議の目的事項の記載が必要




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会社法

中小企業にマッチした機関設計

これまで、株式会社は有限会社に比べて一律に厳格な機関設計の定めがなされていました。例えば、株式会社には取締役会および監査役の設置義務、取締役3人以上の設置義務などの厳格な定めがあり、柔軟な機関設計は困難となっていました。
新会社法では、株式譲渡制限会社については、最低限の機関設計のみを規定し、その他は企業の発展段階に応じて様々な機関設計の選択ができるようになっています。

新会社法では、株式会社は次のようなルールに従って、機関設計を行うことになります。

株主総会 すべての株式会社で必ず設置。
取締役 すべての株式会社で最低1人は必要。ただし、取締役会を設置する株式会社では3人以上(取締役会は取締役3人以上で構成するため)。
取締役会 株式譲渡制限会社では任意設置。それ以外の株式会社では必ず設置。
監査役 株式譲渡制限会社では任意設置。ただし、取締役会を設置する会社では原則設置。




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会社法

譲渡制限会社

株式譲渡制限会社とは、(1)すべての株式の譲渡について、(2)会社の承認を必要とする旨の定めを、(3)定款に置いている株式会社のことです。

種類株式を用いて一部の株式のみ譲渡制限している場合は、株式譲渡制限会社に該当しません。「会社の承認」とは、原則として取締役会における承認を指しますが、定款で別段の定めを置くことも可能です。また、株式譲渡制限会社では取締役会を設置しないことも可能なので、その場合の承認機関は原則として株主総会となります。株式の譲渡制限の定めを定款に置くためには、株主総会の特殊決議(議決権を有する株主の半数以上、かつ当該株主の議決権の2/3以上の賛成)が必要となります。

これまで、有限責任タイプの会社は、公開・大企業を想定した厳格な規制の株式会社と、非公開・中小企業を想定した簡易な規制の有限会社の2つがありましたが、近年、会社類型の選択が硬直化しており、規制が形骸化していると指摘されていました。新会社法では、このような状況を踏まえて、有限会社制度を廃止して株式会社制度に一本化するとともに、「株式譲渡制限会社」には、株式会社でありながら現行の有限会社に準じた簡易な規制を選択することを許容しています。




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会社法

株式会社の機関

株式会社で設置される機関の種類としては、次のようなものがあります。
会社は機関設計の最低限の規律を遵守しながら、この中からそれぞれの企業の実態に応じて必要な機関を選択し、組織を構成していくことになります。

株主総会 株式会社の最高意思決定機関で、取締役・監査役の選解任など、株式会社の組織・運営・管理などに関する重要事項を決定する機関です。株主総会には、決算期ごとに開催される年1度の定時総会と、必要に応じて随時開催される臨時総会があります。
取締役 株式会社の業務執行を行う機関です。
取締役会 3人以上の取締役によって構成され、代表取締役の選任をはじめ重要な業務について意思決定を行う機関です。
監査役 取締役の職務執行や会社の会計を監査する機関です。
監査役会 3人以上の監査役(うち半数以上は社外監査役)で構成され、監査方針の決定や監査報告の作成などを行う機関です。

 この他、委員会、会計監査人、会計参与という機関があります。




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中小企業会計

決算公告

決算公告とは、株式会社が前年度の決算内容について株主総会の承認を得た後、その要旨を債権者や投資家に広く伝えるために官報又は会社の定款で定めた日刊新聞紙に掲載するものです。決算公告は、次のように取り扱います。

●決算公告の方法
主な公告の方法とその内容は次のとおりになります。

公告の方法 公告する決算書
官報又は日刊新聞 貸借対照表の要旨
インターネットによる公開 貸借対照表そのもの(5年間公開)

●インターネットによる公開の具体的な手続
取締役会の決議
貸借対照表を画像処理してホームページに掲載
アドレスの登記
(注)なお、一度掲載した貸借対照表は、5年間継続して掲載します。




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中小企業会計

外貨建取引等

外貨建取引等とは、売買価額その他取引価額が外国通貨で表示されている取引をいい、具体的な会計処理は、次のように取り扱います。

外貨建資産等の区分 会計上の換算方法 法人税法上の換算方法
通貨 決算時の為替相場により換算 期末時換算法

短期外貨預金 期末時換算法(法定換算方法)又は発生時換算法
上記以外のもの 期末時換算法又は発生時換算法(法定換算方法)



短期外貨建債権債務 決算時の為替相場により換算(ただし、転換社債については、発行時の為替相場) 期末時換算法(法定換算方法)又は発生時換算法
上記以外のもの 発生時換算法(法定換算方法)又は期末時換算法

また、外貨建売買目的有価証券、その他有価証券(時価のないものを含む。)及び評価損を計上した有価証券については、時価(その他有価証券のうち時価のないものについては取得原価)を決算時の為替相場により円換算した額を付します。



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中小企業会計

後発事象

後発事象とは、決算日の翌日から計算書類の確定日までの間に発生した会社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす会計事象のことです。
例えば、重要な営業の譲受あるいは譲渡、重要な事業からの撤退、主要な取引先の倒産、重要な設備投資、重要な新株の発行、火災、出水等による重大な損害の発生等が挙げられます。後発事象の会計処理は、次のように取り扱います。

●次期以後の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす後発事象は、会社の財政状態及び経営成績に関する的確な判断に資するため、重要な事象については営業報告書に記載することが必要である。
●商法施行規則第103条第1項第11号において、中会社に関して「決算期後に生じた計算書類作成会社の状況に関する重要な事実」を営業報告書に記載すべきことを定めている。

(記載例)
決算期後に生じた会社の状況に関する重要な事実平成…年…月…日開催の取締役会において、…を決議いたしました。これによる影響額は、…千円であります。




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中小企業会計

税金費用・税金債務

税金費用とは、法人税、住民税及び事業税、源泉所得税、消費税等の租税公課勘定以外のものをいいます。税金債務とは、税金費用のうち、期末までに未納付の部分をいいます。具体的な会計処理及び表示は、次のように取り扱います。

科目 会計処理 表示方法
法人税、住民税及び事業税 発生基準により当期で負担すべき金額に相当する金額を計上 P/Lに「法人税、住民税及び事業税」として表示
決算日時点における未納付の税額を計上 B/S流動負債に「未払法人税等」として表示
源泉所得税等 受取利息配当の源泉所得税のうち税額控除の適用を受ける金額について計上 P/Lに「法人税、住民税及び事業税」に含めて表示
消費税等 原則として税抜方式を適用し、決算日における未払消費税等を計上 B/S流動負債に「未払金(未収入金)」として表示※金額の重要性が高い場合は「未払消費税等」として別に表示




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中小企業会計に関する指針

中小企業会計に関する指針

前回まで「中小企業会計」の個別論点として16項目、一年半近くをかけて見てきました。中小企業における「信用力のある決算書」はこれらの個別論点の蓄積で勝ち取ることが可能となります。

この一年の間に商法の改正にともない会社法が国会を通過し、いよいよ、来年施行の予定となっております。この大改正にあわせて、今年8月3日に日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会から、中小企業が計算書類を作成するに当たり拠ることが望ましい会計処理を示した「中小企業の会計に関する指針」が公表されました。

中小企業の会計処理については、従来、(1)中小企業庁の「中小企業の会計に関する研究会報告書」、(2)日本税理士会連合会の「中小会社会計基準」、(3)日本公認会計士協会の「中小会社の会計のあり方に関する研究報告」の3つの報告等が存在しており、今回の指針は、それらを統合されたものとなります。この指針が中小企業の会計の質の向上に役立つことが期待されます。

この指針には、これまでの16項目に、若干の項目が追加されました。
追加部分は、また、ご紹介していきたいと思います。




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信用力のある決算書を作るために その16

資本・剰余金

資本項目は資本金、資本剰余金、利益剰余金等に区分し、具体的な会計処理及び表示は、次のように取り扱います。
・資本の部は、資本金、資本剰余金、利益剰余金等に区分する。
・資本剰余金は、資本準備金及びその他資本剰余金に区分する。
・利益剰余金は、利益準備金、任意積立金及び当期未処分利益(当期未処理損失)に区分する。
・期末に保有する自己株式は、資本の部の末尾において控除形式により表示する。

資本の部は、次のように区分表示されます。
資本金 発行済株式の発行価額の総額のうち、資本の額に組み入れられた部分。
資本剰余金 資本取引から生じた剰余金であり、「資本準備金」「その他資本剰余金」の2つに区分されます。
利益剰余金 利益を源泉とする剰余金(すなわち利益の留保額)であり、「利益準備金」「任意積立金」「当期未処分利益」の3つに区分されます。
株式等評価差額金 その他有価証券の評価差額(税効果考慮後)。
自己株式 自己株式を取得した場合、取得価額をもって「マイナス」計上するもの。




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信用力のある決算書を作るために その15

計算書類の開示

計算書類は、定時株主総会の承認後、遅滞なく、商法の定めるところにより公告しなければならない。
さらに、計算書類の利用者のニーズ等を勘案し、資金調達の多様化や取引先の拡大を図るためにも、商法上の公告として義務付けられている範囲以上の情報を積極的に開示することが望ましい。

●商法上の「計算書類の開示制度」
商法上で定められている「計算書類の開示制度」には、次の3つがあります。
(1)「直接開示」制度とは、定時株主総会に先立って、株主に直接送付する書類により、会社情報を提供する制度です。
(2)「間接開示」制度とは、株主及び債権者の請求に応じて、営業時間内に何時でも書類を閲覧に供する制度です。
(3)「公告」制度とは、官報、日刊新聞紙又はインターネットにより、特定の「計算書類又はその要旨」(インターネットの場合は要旨は不可)を掲載して情報を提供する制度です。商法では、すべての株式会社に計算書類の「公告」を義務付け、これについての罰則規定も設けられています。




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信用力のある決算書を作るために その14

記帳

記帳の基本的な考え方として「会計帳簿は信頼性の確保のため、信頼性のある記帳が重要であり、整然かつ明瞭に、正確かつ網羅的に行わなければならず、適時に行わなければならない」とされています。

信頼性のある記帳のポイントは次のとおりです。

(1)記帳は、複式簿記の流れに従って、秩序整然と分かりやすく行わなければなりません。
・・・正規の簿記の原則、明瞭性の原則

(2)記帳は、すべての取引事実を証拠書類に基づき、正確かつ網羅的に記録しなければなりません。
・・・立証性、正確性、網羅性

(3)記帳は、取引後、できる限り速やかに行わなければなりません。
・・・適時性

●帳簿の保存期間
商法では、「商人は10年間その商業帳簿及びその営業に関する重要書類を保存することを要す」と定められております。また、法人税法においても、帳簿、決算関係書類その他証憑書類について7年間の保存義務が課せられています。




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信用力のある決算書を作るために その13

注記事項

注記事項とは、貸借対照表又は損益計算書を作成する上で、資産の評価方法、固定資産の減価償却の方法等の会計方針を明確に示すものです。

重要な会計方針の注記は商法上義務付けられていないが、債権者・取引先の便宜の観点から、注記を行うことが望ましい。また、中小企業の特性に鑑み、役員と会社間の債権債務、担保の提供、保証の有無等に関する情報を注記することが望ましい。とされています。

●重要な会計方針の注記
(1)資産の評価の方法
(2)固定資産の減価償却の方法
(3)引当金の計上基準
(4)消費税の会計処理の方法 など

●貸借対照表に関する注記
(1)有形固定資産の減価償却累計額
(2)支配株主、役員に対する金銭債権・債務
(3)リース資産、担保提供資産
(4)資本維持、配当制限に関する事項 など

●損益計算書に関す注記
(1)支配株主との取引高 など




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信用力のある決算書を作るために その12

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書とは・・・
経営者が「お金の流れ」を把握するためのものであり、子どものお小遣い帳や家計簿のようなものです。キャッシュフロー計算書から、「お金の流れ」を把握することで、経営の現状や課題を分析できます。

キャッシュフロー計算書では、キャッシュフローの増減をその性質によって、大きく次の3つに分類します。
(1)営業活動に関するもの
(2)投資活動に関するもの
(3)財務活動に関するもの
これらのキャッシュの増減を分析します。

商法上、キャッシュフロー計算書の作成は義務として求められてはいません。しかし、日常の資金繰りの成否は重大な経営問題に直結しています。そのため、自社の経営の把握と金融機関等の信頼醸成のために、キャッシュフロー計算書を作成することが望ましいでしょう。




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信用力のある決算書を作るために その11

税効果会計

企業会計上の「収益・費用」の認識の時期と、税務上の「益金・損金」の認識の時期とでは、一部ズレが生じます。税効果会計とは、その税務上の認識との間で生じたズレを、企業会計に取り入れ、その認識のズレが及ぼす効果を企業会計に表したものです。

税効果会計においては、会社が負担する税金に関して企業会計と税法の考え方が違う部分を、企業会計の利益をもとに調整計算して求めます。公開会社においては、税効果会計の採用が義務付けられています。

中小企業においては、公開会社と比較して一時差異の生じるケースが多くありません。また、それが生じた場合でも、一時差異が少額であることが多く、また、経営の変動の幅が相対的に大きいことから、繰延税金資産の回収の確実性が疑問視されることが多いと考えられます。

このようなことから、一時差異が小さい場合など重要性の低いものについては、税効果会計を採用する必要はないと考えられています。




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信用力のある決算書を作るために その10

経過勘定項目

経過勘定項目とは・・・
損益の見越し・繰延べとして、貸借対照表の資産の部または負債の部に計上される項目で、前払費用・前受収益・未払費用・未収収益等があります。
前払費用
(資産項目)
一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合に、未だ提供されていない役務に対し支払われた対価をいいます。
前受収益
(負債項目)
一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合に、未だ提供していない役務に対し支払いを受けた対価をいいます。
未払費用
(負債項目)
一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合に、既に提供された役務に対して未だその対価の支払が終わらないものをいいます。
未収収益
(資産項目)
一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合に、既に提供した役務に対して未だその対価の支払を受けていないものをいいます。

商法には規定はありませんが、公開企業を念頭においた企業会計基準においては、損益の見越し・繰延べとして、前払費用・前受収益・未払費用・未収収益等の経過勘定項目の計上が求められています。
しかし、利益に大きな影響を与えないものについては、重要性の原則により経過勘定項目の計上をしないことも認められています。




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信用力のある決算書を作るために その9

費用・収益の計上

費用、収益とその計上時期に関しては、商法上特段の規定はありませんが、企業会計基準上は、費用と収益を期間的に対応させることが原則です。

費用及び収益は、一定の期間に企業が獲得した収益と、それを獲得するために費やされた費用とを対応させなければなりません。
費用の計上基準は、発生主義を原則とされ、収益の計上基準は、実現主義を原則とされます。収益獲得の確実性に応じ、工事進行基準、収穫期準、回収基準等、一般に認められる方法により計上することができます。
各種資産の取得価額について、当期の収益獲得に対応する部分については、損益計算書の費用の部に、次期以降の収益獲得に対応する部分については貸借対照表の資産の部に計上します。

●発生主義 費用は、その支出に基づいて計上します。その発生した期間に正しく割り当てられるようにする考え方です。
●実現主義 収益は、実現の時点で認識するという考え方です。
●費用配分の原則 当期の収益獲得に対応する部分は、「損益計算書の費用」へ、次期以降の収益獲得に対応する部分は、「貸借対照表」へ計上する考え方です。




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信用力のある決算書を作るために その8

リース取引

リース取引とは、特定の所有者から、リース期間の間それを使用する権利を受ける代わりに、リース料として対価を支払う取引のことをいいます。

リース取引については、通常中小企業が行っている一般的なリース取引(ファイナンス・リース取引のうち、リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有者が借り手に移転すると認められるもの以外の取引)については、賃貸借取引として処理します。
リース取引が事実上物件の売買と同様の状態にあるとみなされる場合、原則として売買取引として処理します。
ファイナンス・リース 原則的な取扱い・・・賃貸借取引
リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有者が借り手に移転すると認められるもの・・・売買取引
オペレーティング・リース ファイナンス・リース取引以外のリース取引・・・賃貸借取引

●設備投資の資金調達
設備投資を行う場合に、リースによるか購入によるかで次のように決算書への影響が異なります。下の表を比較検討して、自社に有利な選択をすることが重要です。
リース(賃貸借取引) 銀行借入による購入
貸借対照表への影響 計上しない。ただし重要なものは要注記。 固定資産に計上する。
損益計算書への影響 支払ったリース料を費用計上する。 減価償却計算を通じて、償却額を費用計上する。
キャッシュフロー リース期間内において均等支出される。 銀行借入金の返済期間内で支出される。




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信用力のある決算書を作るために その7

退職給与引当金・退職給付債務

(1)引当金等の計上が必要な場合
内部積立の退職一時金、厚生年金基金、適確退職年金、確定給付企業年金等、将来の追加拠出の可能性がある退職給付制度を採用している会社にあっては、自己都合期末要支給額のうち、将来の在職年数等を考慮した現在価値と考えられる金額について、企業の実態に応じて退職給与引当金を計上するか、退職給付債務から年金資産等を控除した額を計上する。

(2)引当金の計上が必要でない場合
中小企業退職共済制度、特定退職金共済制度、確定拠出型年金等、追加拠出が生じない制度を採用している会社にあっては、毎期の掛金を費用処理する。

(3)法的債務性がない場合
退職規定が無く、退職金等の支払に関する合意も存在しない会社において、将来の退職金支払いの可能性が高く、設定金額の見積もりを合理的に行うことができ、かつ重要性の高いものについては引当金を計上する。

※なお、平成14年度税制改正で税法上退職給与引当金制度が廃止され、現在、退職給与引当金は損金算入されなくなりました。




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信用力のある決算書を作るために その6

引当金

引当金とは、一定の条件を満たす次期以降の費用又は損失のうち、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として損益計算書に計上した場合に、それに対応して、貸借対照表の負債の部(又は資産の部)に記載される項目です。
引当金には、評価性引当金(貸倒引当金)と負債性引当金があります(貸倒引当金については本紙2004.6.15号を参照)。

●引当金の条件
(1)将来の特定の費用又は損失であること
(2)費用又は損失の発生原因が当期以前の事象にあること
(3)費用又は損失の発生の可能性が高いこと
(4)費用又は損失の金額を合理的に見積もることができること
(5)法的債務性のあること

【参考】
負債項目は、流動負債と固定負債に区分されます。
流動負債は、原則として、正常な営業に関するもの又は決算期から1年以内に支払わなければならない負債のことで、支払手形・買掛金・短期借入金等があります。
固定負債は、支払時期又は返済時期が、決算期から1年を超える負債のことで、長期借入金や長期未払金等があります。




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信用力のある決算書を作るために その5

繰延資産

繰延資産とは、既に代価の支払いが完了し、又は支払義務が確定し、それに伴う役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来に及ぶと期待される費用を、資産として繰り延べたのもです。

●商法上の繰延資産
繰延資産は、創立費、開業準備費、試験研究費・開発費、新株発行費、社債発行費、社債発行差金及び建設利息を計上することができます。

商法は上記7項目の繰延資産の計上を認めていますが、繰延資産は換金価値や担保価値を有していない(将来キャッシュインすることはない)ので、早期償却を義務付けられています。

●税務上の繰延資産
商法上の繰延資産に加えて、税務上次のものが繰延資産として定められています。
(1)自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の負担金
(2)資産を賃借し又は使用するための権利金等
(3)役務の提供を受けるための権利金等
(4)製品等の広告宣伝用資産を贈与したことにより生ずる費用
(5)その他自己が便益を受けるために支出する費用(同業者団体等への加入金等)




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信用力のある決算書を作るために その4

固定資産

固定資産とは、長期にわたって、その事業活動の用に供するため所有し使用する資産をいい、その価値の目減り分を減価償却費として、帳簿価額から減額しなければなりません。

●固定資産の減価償却
固定資産の減価償却は、定率法、定額法その他の方法に従い、毎期継続して、規則的に行わなければなりません。
中小企業の実務においては、法人税法での損金算入限度額の範囲で償却を行っていることがほとんどですが、商法第34条は、固定資産に関して、毎決算期に「相当の償却」をしなければならないことを定めています。

●固定資産の減損
予測できなかった著しい資産価値の下落(災害、事故、陳腐化など)があった際には、減損額を控除しなければなりません。この際、中小企業の場合は「固定資産の減損に係る会計基準」に基づく会計処理は、手続上、負担が過大などの理由で、その採用を義務とする必要はありません。

●少額減価償却資産の特例
減価償却資産のうち、少額のものについては、費用処理することができます。




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信用力のある決算書を作るために その3

棚卸資産

棚卸資産とは、生産・販売・管理活動を通じて売上収益を上げることを目的として、費消される資産(いわゆる在庫等)のことで、業種別に次のようなものが該当します。
≪卸売業・小売業≫
 商品、未着品、貯蔵品など
≪製造業≫
 製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵品など
≪建設業≫
 未成工事支出金、原材料、貯蔵品など

●棚卸資産の評価基準
原価法又は低価法を用います。
原価法を採用した場合において、棚卸資産の時価が取得価額より著しく低い時は、将来回復の見込みがある場合を除いては、時価により評価しなければなりません。

●棚卸資産の評価方法
個別法、先入先出法、後入先出法、総平均法、移動平均法等、一般に認められる方法を用いて行います。

●棚卸資産の取得価額
購入代価又は製造原価に引取費用等の付随費用を加算します。




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信用力のある決算書を作るために その2

有価証券

有価証券とは、広い意味において、財産的権利を表示する印刷券で、その権利の移転又は行使に必要とされる証券をいいます。
代表的なものには、株券や債券などがあります。
有価証券の評価基準は、原価法を用います。
市場価格のある有価証券については、原価法、低価法又は時価で評価することができます。
取得原価の評価方法は、総平均法、移動平均法などの一般に認められる方法によります。
原価法を採用した場合において、有価証券の時価が取得原価より著しく低いときは、将来回復の見込みがある場合を除いては、時価で評価しなければなりません。
売買目的の有価証券については、時価で評価します。

≪原価法と低価法≫
●原価法とは、有価証券を購入した価額(取得価額)で貸借対照表に計上する方法です。
●低価法とは、原価法で計上した価額とその有価証券の期末の時価とを比較し、いずれか低い価額で貸借対照表に計上する方法です。




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信用力のある決算書を作るために その1

金銭債権

金銭債権とは、売掛金、受取手形、短期貸付金、長期貸付金など、将来一定の金銭の給付を受けることができる権利(債権)の総称です。
(1)一般的な金銭債権
 金銭債権の評価額は、その債権金額を付します。ただし、債権金額より高い代金で買い入れたときは相当の増額を、低い代金で買い入れたときとのその他相当の理由があるときは相当の減額をすることができます。
(2)市場価格のある金銭債権
 市場価格のある金銭債権については、時価で評価できます。
(3)デリバティブ取引による債権
 デリバティブ取引により生じる正味の債権及び債務については時価で評価します。ただし、専らリスクヘッジを目的とするものについては、ヘッジ対象とデリバティブを一体で評価します。

貸倒引当金

貸倒引当金とは、金銭債権に対して取立不能見込額を見積もった場合に、貸借対照表上に記載させる金銭債権の評価勘定としての引当金をいいます。
金銭債権について、取立不能のおそれがある場合には、取立不能見込額を貸倒引当金として控除しなければなりません。取立不能見込額については、個別債権ごとに評価します。特定の種類の集団的な金銭債権について、過去の貸倒実績率等に基づき一括で評価することも、それが適正かつ合理的である限り、認められます。




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信用力のある決算書?

中小企業の計算書類は、会社債権者や取引先をはじめとする利害関係者にとって必要十分な程度に、会社の財政状態及び経営成績について真実の報告を示すものでなければなりません。

●信用力のある決算書
 ・自社の経営の現状や課題を明らかにできる
 ・今後の適切な経営判断が可能
 ・金融機関や取引先による審査がスピーディ
 ・信用力の強化に結びつく

金融機関は、決算書とそれを土台にした事業計画書をチェックします。適切な事業計画書の作成のためには、現在の会社の状況を適切に把握しなければなりません。そのためには信用力のある決算書の作成が必須となります。
信用力のある決算書を作成するためには、適切な会計のルール、具体的には個別項目の会計処理を「中小企業の会計基準」に基づく必要があります。
「中小企業の会計基準」には個別論点として16項目が列挙されています。
次回からこれらについて一つずつ見て行きましょう。




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月次決算の重要性

これまで決算書についてお話してきましたが、この決算(成績発表)を年一回しかしない、というのでは、取り返しのつかないことになりかねないことがあるのです。
たとえば、4月から翌年3月を一会計期間とする場合に、4月に経営上のミスがあったとき、年一回しか成績発表をしないのであれば、翌年3月を過ぎて4、5月ごろにならないと前年4月の損失を把握できない、、大問題ですね。
14ヶ月も経営ミスを把握できないまま過ごすことになるのです。そのミスが重大なものであったなら、、その事業はつぶれてしまいます。もっと早く気付けば何らかの対処もできたのに、、と嘆いても手遅れです。

そこで、月次決算(毎月成績発表)の重要性がでてくるのです。
「正確」かつ「迅速」な月次決算を行うことにより、毎月毎月の経営成績が一目瞭然に分かるようになり、利益や損失の原因を見極めて翌月の経営に活かしていくことができるのです。
今月は儲かっているのか?損をしているのか?今の営業方針でいいのか?ほかの方法を考えたほうがいいのか?などの重大関心事は、勘や思い込みで一喜一憂するのではなく、「数値・計数」で把握することにより、今日なすべきこと明日なすべきことが見えてくるのです。まさにタイムリーな行動ができるようになるのです。

月次決算は「正確」かつ「迅速」に、、といいましたが、
「正確」とは、毎月毎月、月次決算を実施し、その月次決算12ヶ月分を足し合せると年次決算になるものをいいます。
「迅速」とは、概ね、当月分締切後、1週間以内にその月の成績が判明する程度をいいます。




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キャッシュフロー計算書(C/F)

決算書の中で最も重要視されるものは、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書で、これらを「財務3表」といいます。今月は3つ目のキャッシュフロー計算書についてご説明します。

キャッシュフロー計算書(C/F)は、一会計期間のキャッシュ(現金預金など)の出入りを表にまとめたものです。P/Lでは5つの利益を把握することができると言いましたが、この利益というのは、実は操作しようと思えばできるものなのです(ex.期間損益の計上時期、架空売上・架空経費の計上など)。

ところがキャッシュの増減についてはごまかしようがありません。期間の初めと終わりのキャッシュ残高を見れば明らかです。そこで近年C/Fが注目されています。お金が増えているのか減っているのか・・・または一体何にどのように使われているのか・・・その実態を把握することができる計算書なのです。

この計算書は「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つの区分から構成されており、それぞれのお金の出入りを把握することができます。一定期間の期首期末B/SとP/Lから作成することができます。




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損益計算書(P/L)

決算書の中で最も重要視されるものは、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書で、これらを「財務3表」といいます。前月は貸借対照表について説明しました。今月は損益計算書です。

損益計算書は、英語で「Profit & Loss Statement」といい、「P/L」(ピーエル)と略したりします。
損益計算書は、一定期間の経営成績を表します。

つまり、一会計期間の売上高などの収益から仕入高(売上原価)や人件費(経費)などの費用を差し引き、利益を導き出します。
この利益を導き出すプロセスやその実態を明確にすることで、適正な経営成績表となります。

損益計算書で計算されるのは、
(1)売上総利益
(2)営業利益
(3)経常利益
(4)税引前当期利益
(5)当期利益 の五つの利益です。
それぞれの利益の意味については、またの機会にしますね。




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貸借対照表(B/S)

決算書の中で最も重要視されるものは、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書で、これらを「財務3表」といいます。今月は貸借対照表について説明します。

貸借対照表は、一時点の財政状態を表します。一時点とは、通常は決算日を指します。毎月決算(月次決算)をする場合は、月末を指します。財政状態とは、お金やモノがどのように調達(出資や借入)され、どのように運用されているか(使われているか)を示すものです。この「調達」を右側に、「運用」を左側に表示して、これらを文字通り「対照」表示します。
この「調達」のうち、出資者から調達したものを「資本」といい(毎期の利益の累積も「資本」に加算されていきます。)、出資者以外の人(銀行、取引先、従業員など)から調達したものを「負債」といいます。左側の「運用」の明細を「資産」として表示します。貸借対照表は、別名「バランス・シート」といい「B/S」(ビーエス)と略され、左右の合計額が必ず一致するという性質を示しています。
B/S
資産 負債
資本




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決算書の種類

決算書の作成義務は、商法と証券取引法によって定められています。

証券取引法は、上場会社などに適用される法律です。社会一般の大衆投資家を保護することを目的としていて、その内容は厳しいもので決算などの報告書を財務大臣に提出することになっています。

商法は、営利を目的とした行為を行う個人や会社が守らなければなりません。我われ中小企業にも適用される法律です。この商法には、決算書作成のルールも定められていて、一般に株主(出資している人)や債権者(お金を貸している人)の保護を目的としています。

商法で作成を義務付けられている「決算書」は、貸借対照表、損益計算書、利益処分案、附属明細書です。これらを一般に「計算書類」と呼んでいます。これに加えて営業報告書を作成することになっています。

これらのほかに、キャッシュフロー計算書というものがあり、これに貸借対照表と損益計算書とを合わせて「財務3表」といい、重要な経営情報書類になります。




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決算書は経営者の成績表

「決算書」とはなんでしょうか?
ズバリ申しますと「決算書」とは経営者の成績表のことです。

決算書は、一年間の経営成績と決算日の財政状態(財産や借金の額)を分かりやすく表にまとめたものです。

決算書を作成する理由をご存知ですか?
決算書は、税務署に提出するために作っていると答える経営者の方がいますが、それは正解ではありません。

先ほど申しましたが、決算書は成績表です。一定期間の経営成績や一定時点の財政状態を明瞭に表示することにより、経営者自身がこれまでの経営を振り返り、これからどのような経営をすべきなのかを判断する重要な資料なのです。
もちろん、その作成には商法や商法施行規則などの法律に一定のルールが定められています。

キチンとした決算書を作成して、出資してくれている人、資金を貸してくれている人、労働力を提供してくれている人たちに、感謝の意を込めて今後の経営を真剣に考えましょう。





行政書士には、法律により守秘義務が課せられています。
お気軽にご相談ください。





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